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2013年07月17日 協議離婚の翻意
<今回のメニュー>
■協議離婚届書作成後に気が変わったら?
■戸籍の不受理申出制度について
■編集後記
■協議離婚届書作成後に気が変わったら?
協議離婚届書を作成した後に「やっぱり離婚するのやめる!」って事があると思います?
そういう事ってあるのですね。
しかも最高裁判所で争われた方もいらっしゃるのです。
良く考えてみたら、カッとなって協議離婚届書に署名捺印した後で冷静になり後悔なんて事はありそうですね。
最高裁判所で争われた方の例を簡単に記述します。
〜ステージ1(夫妻での調整)〜
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夫妻は、協議離婚届書を作成します。 |
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作成された協議離婚届書は、妻が預かります。 |
〜ステージ2(夫の翻意)〜
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しかし、夫は気が変わります。 |
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夫は市役所へ「離婚届が出されても受理しないでほしい」と申し出ます。 |
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その翌日に妻が協議離婚届書を提出します。 |
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市役所は、協議離婚届書を受理します。 |
〜ステージ3(裁判)〜
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困った夫は、協議離婚届出は無効だと裁判所へ訴えます。 |
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妻は、飜意の表示等が無かったので協議離婚届出は有効だと主張します。 |
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裁判所は、以下のように判断します。
「届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確である時は、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない」
・・・ |
つまり、届出がだされた時点で夫が離婚の意思を持ってないので協議離婚届出は無効、妻が負けてしまいました。 |
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<判例詳細情報>
事件名 : |
離婚届出無効確認請求 |
裁判年月日: |
昭和34年8月7日 |
法廷名 : |
最高裁判所第二小法廷 |
自分が想像していたのと同じ結果だったでしょうか?
この後、あらかじめ不受理申出がされている場合には協議離婚届出を受理しない扱いが認められるようになっております。
現在は離婚だけではなく拡大され、戸籍の不受理申出制度となっております。
■戸籍の不受理申出制度について
戸籍の不受理申出制度とは、婚姻届、協議離婚届、養子縁組届、協議離縁届、認知届を本人が市役所又は町村役場に出頭して届け出た事を確認しない限り届出を受理しないように申し出る事が出来る制度です。
以下詳細な内容を記載します。
<制度の対象となる届出>
婚姻届、協議離婚届、養子縁組届、協議離縁届、認知届
<申し出が出来る人>
本人(届けをだされたら困るご本人)
<効果>
本人自らが役所で手続きをしたと役所が判断しない限り婚姻届、協議離婚届、養子縁組届、協議離縁届、認知届が受理されません。
<申請先>
申請する方の本籍地または住所地
※ |
不受理申出の申請書は、本籍地で保管されます。本籍地以外で不受理申出の申請書が提出された場合、受理した市区町村から本籍地へ送付されます。 |
<必要書類>
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本人を確認できる資料 |
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不受理申出書 |
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印鑑など |
※ |
詳細は、申請先の各市区町村へお問合せ下さい。 |
<有効期限>
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取下げない限り、お亡くなりになるまで有効です。 |
※ |
平成20年5月1日より前の場合には、有効期限が6ヶ月間でした。 |
※ |
養子縁組届及び養子離縁届の場合、お子様が15歳未満の場合は、15歳になると失効します。
その後も不受理申出を希望される場合には、お子様自身からの申出書の提出が必要です。 |
■編集後記
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
戸籍の不受理申出制度は、離婚時だけではなく活用が出来ますのでご心配事がある方は、活用されると良いなと思います。
離婚に関する基礎知識モノは、弊事務所のサイトにも用意しておりますので宜しければそちらも参照頂ければ幸いです。