子供のこと(親権)
1.未成年の子供がいる場合の注意
離婚は、夫妻が合意すればできるものなのですが、未成年の子供がいる場合には、以下の事を決めなければ
離婚できません。
- 親権者を決めなければなりません。(民法第八百十九条)
- 監護者を決めなければなりません。(民法第七百六十六条)
2.「親権者」と「監護者」の違い
「親権者」と「監護者」の違いを簡単に説明しますと
- 親権者=『身上監護権』+『財産管理権』を持った人
- 監護者=『身上監護権』 を持った人
の事です。
身上監護権?財産管理権?とハテナマーク点燈かもですね。
ここからもう少し詳しく説明します。
3.親権に関して
親権は、
『身上監護権』と
『財産管理権』から構成されています。
●『身上監護権』とは
子供の身の回りの世話や教育を行う権利です。
民法では、以下に規定されています。
- 【第八百二十一条】子供の居所の指定
- 【第八百二十二条】しつけ(懲戒)
- 【第八百二十三条】職業の許可
●『財産管理権』とは
子供の財産を管理したり、その財産に関しての法律行為を行なう場合に子供を代表する権利です。
民法では、以下に規定されています。
4.離婚に際して
離婚に際して、通常の場合、親権者を指定しますと指定された者が、その子の『身上監護権』と『財産管理権』を持つことになります。
<例えば、妻が親権者に指定された場合>
親権者=『身上監護権』+『財産管理権』を持った人 → 妻
監護者 → なし
但し、親権者とならなかった方を監護者とする事もできます。
その場合、監護者が『身上監護権』を持ちますので親権者は『財産管理権』のみを持ちます。
<例えば、妻を親権者 夫を監護者と指定された場合>
親権者= 『財産管理権』を持った人 → 妻
監護者=『身上監護権』 を持った人 → 夫
5.離婚時の親権者の決め方
親権者の決め方は、民法(民法第八百十九条)に規定があります。
- (1項)協議離婚の場合には、夫妻が協議してどちらか一方を親権者と決めます。
- (2項)裁判上の離婚の場合には、裁判所が夫妻のどちらか一方を親権者と決めます。
- (3項)子供が生まれる前に離婚した場合、親権者は母(元妻)になります。
但し、子供が生まれた後に、協議を行い、父(元夫)にする事ができます。
- (4項)割愛
- (5項)協議が纏まらなかったり、協議自体が出来ない場合には家庭裁判所が
審判によって決める事も出来ます。
- 但し、異議申立をされた場合には、効力はありません。
- (6項)割愛
- ※4項と6項は、離婚時の親権者の決め方とは関係が無いので割愛しました。
6.離婚時の監護者の決め方
監護者の決め方は、民法(民法第七百六十六条)に規定があります。
- (1項)協議離婚の場合には、夫妻が協議して監護者と決めます。
- (2項)協議が纏まらなかったり、協議自体が出来ない場合には
家庭裁判所が決める事も出来ます。
- (3項)割愛
- (4項)割愛
- ※3項と4項は、離婚時の監護者の決め方とは関係が無いので割愛しました。
- ※親権者とは異なり、第三者でも監護者となる事ができます。
7.親権者と監護者は変更できるのか?
どちらも変更する事はできますが、難易度が異なります。
家庭裁判所の調停または審判によらなければ変更できません。
まず、家庭裁判所の調停で話し合いを行ないます。
話し合いが纏まらない場合には、家庭裁判所の裁判官が審判を行う事になります。
父母の協議で変更できます。
但し、協議が纏まらない場合には、家庭裁判所に調停または審判を申し立てます。