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2012年10月31日 婚外子の相続分って少ないの?

民法(900条4号)に規定されている「嫡出でない子の相続分が嫡出である子の相続分の二分の一」とされている事が、憲法(14条1項)に規定されている「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」に違反するのか?しないのか?について争われた判例をご紹介します。
有名な判例ですので、ご存知な方も多いかと思いますが、今一度、記載します内容をお読み頂ければ幸いです。
尚、非嫡出子という言葉は、ここでは使用しません。婚外子という表現でお話をします。

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■判例の解説

民法の婚外子の相続分規定は、合憲であるのか?
■編集後記

◆ 類似記事「婚外子の相続格差について」は こちら

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 判例の解説

さっそく判例の解説に入ります。
~最高裁判所 平成7年7月5日 大法廷 決定~
民法の婚外子の相続分規定は、憲法に違反しないか
について
の裁判です。
~その内容を以下に物語にして説明します。~
 登場人物や登場人物が考えた事等は、フィクションです。
遺産相続こんなときあなたは・・・事例をご紹介しております




今回の主人公は、山本さんです。
山本さんは、旧家のお嬢様でした。
更に、兄弟もいなかった為、家を継ぐ為に婿を迎える事になりました。
そこで、婿を迎えたのですが、山本さんの父(家長)は、その婿が気に入りませんでした。

まだ、籍を入れる前でしたので、その婿は、追い出されてしまいました。
しかし、山本さんとその婿の間には子供(一男さん)が出来ていました。
一男さんは山本さんのもとで大切に育てられる事になりました。

その後、新たな婿を迎える事になりました。
その婿は、追い出されること無く、山本さんと籍をいれ法律上の夫婦となり子供(二男さん)にも恵まれました。

月日は流れて一男さんは結婚し子供(一子)が産まれてすぐに亡くなってしまいました。
山本さんは、一男さんがいなくなった事を感じさせないくらい一子(孫)さんを可愛がりました。

一子(孫)さんが大学を卒業して就職した年に山本さんは、病気で亡くなってしまいました。

その後、遺産分割協議が行なわれたのですが、上手く纏まらずに裁判となってしまいました。
その裁判で、一子さんは、「父が婚外子である為に父の兄弟と比べて相続分が二分の一となるのは、民法の規定が憲法(14条1項)に違反しているのではないか」という事も主張しました。

[裁判の結果]
民法に規定された法定相続分が、婚外子が婚内子の二分の一である事は、合憲であるとされました。
※但し、反対意見の裁判官もいました。
また、将来は、「婚外子が婚内子の二分の一」である事は、廃止されるのでは無いかという意見も多数あります。
その為、将来ひょっとしたら、この規定は変更されるかもしれません。
しかし、現在は、法定相続分は「婚外子が婚内子の二分の一」です。

◆参考文献◆
有悲閣 家族法判例百選第7版 118、119頁
非嫡出子の相続分規定は合憲か(吉田克己)


~こうした事を防げないか?~
法定相続分とは、遺言書が無く遺産分割協議でも決まらずに争いが収まら ない場合に裁判所が使用する物差しになります。
遺言書や遺産分割協議では、法定相続分には縛られません。
但し、遺言書の場合には、後に遺留分の問題が発生しないように考える必要があります。
今回のケースでは、遺言書を作成する事で争いを防ぐ事が出来た可能性が高いと考えられます。
自分の財産ですので、どう処分したいのかを遺言書として書く事は、残された者達の為にも是非行なって頂ければと思います。

また、きっと揉めそうだなと思われる場合には、遺言書を作成するようにお願いをすると後々の面倒から開放されるのではないかと思います。

 編集後記

今回の判例は、きっと聞いた事があり、かつ、なんか不公平な感じがするのではないでしょうか?
頑張って裁判をして世論が味方をしたら判例が変わるかもしれませんがそのような事をするには、大変な時間と精神力とお金が必要になってきます。
争い事を避ける事が出来るのでしたら、そちらを実行されたほうが時間も精神力もお金もかからないと思いますのでじっくりと検討されると良いかなと思います。
あ、今回の法定相続分に関しての資料を、事務所のホームページの「相続・遺言書の基礎知識」にアップしました。もし、興味がありましたら、そちらもご参照頂ければ幸いです。


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