少し前に遺言公正証書を再作成した時に公証人の先生が、
「再作成しても古い遺言が存在するとどうなるんだろうね?」
「僕は作る人だから、分からないなぁ、ハハハ~」
とおっしゃってました。。
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■古い遺言書の取り扱い方法
遺言書は、何回でも作成する事が出来ます。
遺言を何回も作成した場合、前の遺言と後の遺言の関係について民法に記述されています。
~民法抜粋~
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 |
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。 |
つまり、こういう事です。
- 不動産を長男に相続させる内容が入った遺言書を作成しました。
(月日が流れ長男より二男に相続させたいと気持ちが変わりました)
- 不動産を二男に相続させる内容が入った遺言書を作成しました。
(その後、遺言者は亡くなります)
- 長男は遺言で不動産が自分のものになると思っていたら、、弟のものになりました。
※後から作成された遺言書により、不動産を長男に相続させるという部分が撤回され、二男に相続させることになったのです。
なるほど、民法よく考えてるなぁと思いますよね~
しかし!!!
長男に相続させるという遺言書と二男に相続させる遺言書の両方が存在する状態で遺言者が亡くなり、誰も遺言の内容を知らない場合、こんな事が起きるかもしれません。
→あ、遺言書があった!(先に作成された遺言書のみ発見される)
→不動産は長男に相続か、じゃあ手続きしよう。
本当は、二男にあげたいと遺言者が思っても後の祭りです。
遺言者であれば、
私、遺言書は、2通作成してるんだな。
新しい遺言書はこっちなんだ。
この新しい遺言書のとおりに手続きしてね。
と指示が出来ます。
しかし、遺言書は、遺言者が亡くなった後に使用されるものです。
指示出来ませんよね。。
新しい遺言書を作成した瞬間に古い遺言書に”コレ古い遺言書です”という文字が浮かび上がってくれば良いのですが、そんな事はありません。
さて、どうしましょうか。
対応方法としては、破棄という方法があります。
実は、民法に遺言書の破棄に関する事も記述されているのです!
~民法抜粋~
(遺言書又は遺贈の目的物の破棄)
第千二十四条 |
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。 |
そうなんです、完全に内容が異なる遺言書を新たに作成したなら、前の遺言書を破棄しちゃうという方法があります!
そうすれば、間違って古い遺言書で手続きされたりしません。
蛇足ですが、遺言書の破棄は、遺言書を作った本人以外はやっちゃ駄目な行為です。
人の遺言書を破棄しちゃうと相続人では無くなってしまうのです!
~民法抜粋~
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 |
次に掲げる者は、相続人となることができない。
<一 から 四 は、割愛します>
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者 |
話が脱線しましたので元に戻します。
完全に内容が異なる遺言書を新たに作成した場合、古い遺言書は、破棄すれば問題解決で良かった良かったですね~
しかし!!!
公正証書で遺言書を作成された方は、遺言執行者の方に遺言書を預ける事もあります。
完全に内容が異なる遺言書を新たに作成した場合には、遺言執行者から遺言書を返して貰わないと、古い遺言書で遺言を執行してしまうかもしれませんのでご注意ください。
まとめ
- 完全に内容が異なる遺言書を新たに作成した場合
→古い遺言書は、破棄すると安心
→遺言執行者に遺言書を預けている場合には遺言書を返して貰う
- 自分が作成した遺言書以外を破棄した場合には、相続人となれなくなる事に注意が必要(というか絶対にしちゃ駄目よ)
■編集後記
最近、遺言書を自分で作りたいという方に多く出会います。
そのような方々は、弊所におまかせくださればなぁと思いつつ、遺言書作成のセミナーの講師をお受けする今日このごろです。
サクサクと遺言書を作成したい!とお思いの方、是非とも弊所へご依頼くださいませ!
初回の相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。