認知症の高齢者は、増加しているそうですね。人数だけで無く、65歳以上の人口に対する比率も増加しているそうです。2025年には、65歳以上の方の中で12.8%の方が日常生活自立度2以上となるのではないかと予想されています。
日常生活自立度2とは、厚生労働省の資料によると「日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意すれば自立できる状態」との事です。
また、12.8%という数字は、表現を変えると7.8人に一人です。どうでしょうか?認知症は、自分には関係無いと自信を持って言えますでしょうか?
という事で、今回は認知症という視点から「相続」「遺言書」を考えてみたいと思います。
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■相続人が認知症となった場合
■自分が認知症となる前に
■編集後記
相続人が認知症となった場合
遺言書が無いと、遺産分割協議を行わなければなりません。
遺産分割協議を行う際に相続人の中に認知症が進み判断能力が欠けた方がいらっしゃると、その方に後見人等を選任してもらわなければなりません。
後見人等の選任には、時間がかかります。
遺言書があるとその時間を短縮できます。
更に遺言書に遺言執行者を指定する事で相続手続きを楽にできます。
既に相続人の中に認知症が進み判断能力が欠けた方がいらっしゃる場合は、
1. |
その方の為に成年後見制度を利用 |
2. |
その方のお世話をする事を条件とした負担付きの遺贈 |
といった事をされると良いと思います。
自分が認知症となる前に
認知症となりますと遺言書の作成が面倒です。
… |
認知症が進み判断能力が欠けてしまい成年被後見人となってしまいますと「事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。」事になっております。 |
… |
被保佐人や被補助人の場合には、医師二人以上の立会い等は求められませんが、遺言能力について相続人が争う可能性もあります。 |
一番良いのは、認知症となる前に遺言書を書くことです!
当たり前すぎて怒られそうですね。。
はい、もちろん、ここで終わりではありません。
遺言書以外に「このような準備がありますよ」という提案があります。
☆まだまだ元気な状態の時に
1. |
見守り契約の締結
… |
定期的に電話等で連絡を取る事で心や体の健康状態を見守る契約。後述します任意後見契約をスムーズに開始するためにも有効です。 |
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2. |
任意後見契約の締結
… |
将来自分の判断能力が不十分になった際に誰にどのような事をお願いするのかをあらかじめ契約します。 |
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☆健康に不安を感じる場合等に
3. |
財産管理等委任契約の締結
… |
判断能力には問題無いけど、外出が困難な状態である場合や急に入院した場合に自分の財産を管理してもらう契約です。 |
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上記1.2.3.は、必ずセットで行わなければならないわけでもその他に方法が無いわけでもありません。
あくまでも一例としてお考え下さい。
その方に一番良い方法は専門家とご相談される事をお勧めします。
ついでにもうひとつのご提案があります。
☆自分が亡くなった後の事務手続きを事前に依頼
4. |
死後事務委任契約の締結
… |
「お通夜や告別式、納骨や埋葬に関する事務」
「行政官庁等への諸届けに関する事務」
「医療費や老人ホーム等の施設利用料の支払いに関する事務」
等々の事務を委任する事ができます。 |
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編集後記
今回は、「見守り契約」「任意後見契約」「財産管理等委任契約」「死後事務委任契約」といった様々な契約をご紹介しました。
今後、各々の契約に関してもっと詳しくお伝えしたいと考えております。
相続と直接関係なさそうだから要らないと思わずにお付き合い頂けますと幸いです。
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