民法と相続税法では相続人の数の概念が異なる事に関して書きたいと思います。
FPの勉強をされた方にとっては、ちょっと退屈な話かもしれませんがそうじゃない方にとっては意外な感じを持たれるかなぁと思います。
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民法の相続人の数≠相続税法の相続人の数 |
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編集後記 |
民法の相続人の数≠相続税法の相続人の数
≠記号があるので、ひょっとしたら完全に違うのかなぁと思われたかもですが完全に異なるわけではありません。
以下のようなケースの際に異なるのです。
●ケース1:複数人の養子がいる場合
<民法では>
養子も子ですので、全員相続人となります。
<相続税法では>
養子の数に制限があります。
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実子がいる場合には、1名までしかカウントしてくれません。 |
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実子がいない場合にも、2名までしかカウントしてくれません。 |
《どうなるの?》
養子の方、全員に相続する権利があります。
しかし、相続税の計算で優遇される人数に全員が対象とはなりません。
~例:配偶者は亡くなっており、実子が1人で養子が2人の場合~
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法定相続分は、各々3分の1ずつです。 |
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相続税の基礎控除額の算出には相続人が2人とされ基礎控除額が少なくなります。
※平成25年7月24日現在では
5000万円+1000万円×相続人の数
↓↓↓つまり↓↓↓
3人とも実子の場合には、8000万円となるところが上記の場合だと7000万円となります。 |
●ケース2:相続放棄をした方がいる場合
<民法では>
初めから相続人とならなかったものとみなされます。
<相続税法では>
相続の放棄が無かったものとした場合における相続人の数とされます。
《どうなるの?》
相続の放棄をされた方には相続する権利はありません。
しかし、相続税の計算で優遇される人数に変更はありません。
~例:配偶者は亡くなっており、実子が3人いるが1人相続放棄の場合~
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法定相続分は、相続放棄をしていない方へ各々2分の1ずつです。
・・・相続放棄した方には相続分がありません。 |
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相続税の基礎控除額の算出には相続人が3人とされ基礎控除額に影響がありません。 |
~例:配偶者と実子1人だが実子が相続放棄かつ父母が存命の場合~
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法定相続分は、配偶者が3分の2で父母が各々6分の1ずつです。
・・・実子が相続放棄した事により父母が相続人となりました。 |
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相続税の基礎控除額の算出には相続人が2人(配偶者と実子)とされ父母は影響しません。 |
※補足
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「相続税の基礎控除額」を記載しましたが、「 相続税の総額の計算」や「生命保険金の非課税限度額」や「死亡退職金の非課税限度額」も同様に民法が考える相続人の数とは異なりますのでご注意下さい。 |
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下記のどれかに該当する養子の場合には実子として扱われます
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亡くなられた人の特別養子縁組により養子となっている方 |
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配偶者の実子で後に亡くなられた人の養子となっている方 |
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配偶者と特別養子縁組により養子となっていた方で亡くなられた人と配偶者の結婚後に養子となった方 |
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亡くなられた人の子に代わって相続人となった孫等の方 |
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編集後記
民法と相続税法で相続人の数に関しての考え方が違うってご存知でした?
記事の中で生命保険金と記載した箇所があったのですが、あれ、生命保険金って相続財産なの?と思われた方もいらっしゃるかもですね。
生命保険金の場合、だれが保険料を支払って誰が受け取るかによって意外と複雑な扱いとなるのです。
つまり文章が長くなるので、次回以降に書かせて頂こうと考えています。