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2013年06月26日 親子関係不存在確認請求

相続問題で「藁の上からの養子」が争われた事例のご紹介を致します。

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■判例の解説

親子関係不存在確認請求事件


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 判例の解説

それでは判例の解説に入ります。
~最高裁判所 平成18年7月7日 第二小法廷 判決~
親子関係不存在確認請求事件
~その内容を以下に物語にして説明します。~
登場人物や登場人物が考えた事等は、フィクションです。
遺産相続こんなときあなたは・・・事例をご紹介しております




今回の主人公は、惟浩さんです。
惟浩さんは、佐藤惟浩として人生の大部分を過ごしてきました。
しかし、今回相続問題を原因として佐藤惟浩として認められないような出来事に遭遇してしまいました。

すみません、話が唐突すぎて何の事か分かりませんよね。
少し過去にさかのぼって説明いたします。

惟浩さんは、実は鈴木夫婦の間から生まれています。
しかし鈴木夫婦には、惟浩さんを育てる経済的な余裕がありませんでした。
そこで、佐藤夫婦に彼らの長男として出生の届出をするようにお願いします。

佐藤夫婦は悩みました。
自分達の間には既に女の子が2人いるからなぁ。
しかも長女は、小さい時に高橋夫婦の養子に出しているからなぁ。
しかし、二女も十代後半で手はかからないな。
本心を言えば、男の子も欲しかったな。
養子だと子供がいじめられるかも。
結局、佐藤夫婦は、鈴木夫婦の提案を受け入れて惟浩さんを自分達夫婦の子として出生の届出を行います。

その後、佐藤夫婦と二女と惟浩さんは、家族として生活していきます。
年の離れた二女は、惟浩さんが大学に行く際には学費を援助してくれる等二女も惟浩さんを家族として受け入れてくれていたように思われます。
更に惟浩さんは結婚してからも佐藤夫婦と二女と同居しています。
惟浩さんは、佐藤夫婦を生みの親だと思い二女を血の繋がったお姉さんだと思っていたからだと思われます。

その後
佐藤夫婦の夫が無くなり妻が全財産を相続します。
↓↓↓
惟浩さんは、別に家を構える事になります。
↓↓↓
佐藤夫婦の妻が無くなり二女が全財産を相続します。
→これは遺言書による相続です。
二女と同居していた為、相続が原因で二女の住む場所が無くならないようにしたいという考えの遺言書を作成された為です。
↓↓↓
二女も亡くなってしまいます。


ここで問題が発生したのです。
二女が亡くなったのを惟浩さんが発見するのが遅れた事と法要の参列者を相談されなかった事に長女が立腹して裁判所へ親子関係不存在確認請求を行ったのです。

<長女の主張>
惟浩さんは、うちの親の本当の子じゃありせん!

<惟浩さんの主張>
遺産を独占したいという目的なので権利の濫用にあたると思います。

<裁判所の判断>
権利の濫用に当たらないとした高等裁判所の判断には、違法があると考えられるので差し戻します。
 ~理由~
1. 出生の届出がされた時から佐藤夫婦(妻)が亡くなるまで約55年間惟浩さんと佐藤夫婦・二女の間で実の親子と同様の生活の実体があり、長女は、二女の相続が問題となるまで実子であることを否定してない。
2. 判決で惟浩さんと佐藤夫婦の実親子関係の不存在が確定されると惟浩さんが受ける精神的苦痛は軽視し得ないものであると予想され、経済的不利益も軽視し得ないものである可能性が高い。
3. 佐藤夫婦は、惟浩さんが実の子ではない旨を述べた事はなく惟浩さんと嫡出子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに佐藤夫婦が亡くなってしまっているので養子縁組をして嫡出子としての身分を取得することは不可能。
4. 長女は次女が亡くなっている事を惟浩さんが発見する事が遅れた事や法要の参列者を相談なく決めようとしたことなどから惟浩さんと佐藤夫婦の親子関係を否定するに至ったとの事ですが、それは実親子関係を否定合理的な事情とは言えません。

◆参考文献◆
有悲閣 家族法判例百選第7版 52、53頁
親子関係不存在確認請求と権利濫用(西 希代子)



~補足1~
今回ご紹介した判例では、親子関係不存在確認請求が権利濫用に当たるとされましたが、必ず権利濫用と判断されるわけでは無い事にご注意下さい。

~補足2~
今回の事例は、現在も当時も違法な行為です。
現在では、嫡出子と同様の権利を持つ特別養子縁組という制度があります。


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