土地の遺贈をめぐり税務署との間で争いが生じた事例をご紹介いたします。
税務署と聞くと少しこわいと思う方もいらっしゃると思いますが、とても親切な方が多いのですよ。(少なくとも僕は、とても親切にして頂いていると思います。)
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■判例の解説
遺留分減殺請求により価額による弁償が行われた場合
■編集後記
判例の解説
それでは判例の解説に入ります。
~最高裁判所 平成4年11月16日 第一小法廷 判決~
所得税再更正処分等取消
~その内容を以下に物語にして説明します。~
登場人物や登場人物が考えた事等は、フィクションです。
今回の主人公は、治さんです。
治さんは、とても温厚で義理堅い方です。
実は、治さん若い頃は、ヤンチャで仕事は長続きせず、大きな借金を抱えた事もあるのです。
そんな困った治さんに救いの手を差し伸べてくれた人がいました。
K社を経営するTさんという方です。
Tさんは、代わりに借金を返済してくれ、かつ仕事を紹介してくれたのです。
治さんは、心を入替え一生懸命に働きました。
その結果、とても裕福な生活を送れるだけのお金も出来ました。
もちろん、代わりに返済してくれた借金分のお金は返済しました。
更に何か恩返しできないものかと考えている最中に、恩人が亡くなります。
治さんは、とても悲しみました。
どうにかしてTさんの恩に報いたいと考えます。
Tさんは、自分の会社(K社)を大きくする事に一生懸命だった事がとても印象に残っています。
そこで治さんは、自分の稼ぎで購入した土地をK社に遺贈する事にしました。
その後も治さんは、頑張ってお仕事を続けていたのですが、ある年の春に亡くなってしまいました。
治さんの相続手続きで、土地はK社のものとなったのですが、治さんの子供達が、K社に対して遺留分減殺請求を行います。
K社は、争う事なく、遺留分減殺請求に応じてくれました。
しかし、税務署が税金の納入に関して問題を提起されます。
こちらに関しては、裁判で争われる事になりました。
<問題になった点>
●治さんの相続人が支払った税金
治さんからK社(法人)へ遺贈された為、以下のように納税しました。
→ |
相続税の対象では無くなります。
※K社(法人)に法人税が課税されます。 |
→ |
みなし譲渡所得課税が発生します。
※治さんは亡くなられているので相続人が払います。 |
●遺留分減殺請求による価格価額による弁償
相続人がK社(法人)へ遺留分減殺請求を行いK社(法人)が、価額による弁償を行った為、以下のような納税ではないかという問題が生じた。
→ |
相続税の対象。 |
→ |
みなし譲渡所得課税が発生します。 |
<裁判所の判断>
K社(法人)への土地の遺贈に対する遺留分減殺請求について、K社(法人)が価額による弁償を行っているが、結局土地が治さんからK社(法人)へ譲渡されたという事実には、変化ない事になるので、納税方法に問題はないとされました。
◆参考文献◆
有悲閣 家族法判例百選第6版 194、195頁
遺留分減殺請求に対する価格弁償の効力(水野 忠恒)
~法人への遺贈の注意点~
個人間の場合には、相続税が適用されるのですが、法人への遺贈の場合には、法人税や贈与税や所得税が適用されます。
今回のケースのように法人へ遺贈した場合
●法人に対して
遺贈により収益があったされます。
その法人の他の収益と合計されて法人税(+地方税)が課税されます。
※不動産の評価は相続税の場合の評価と異なり時価となります。
●被相続人に対して
時価で譲渡したものとみなされ、みなし譲渡所得課税として被相続人へ所得税および住民税が課税されます。
実際には被相続人は、亡くなられているので相続人が精算します。
編集後記
個人へ遺贈するのか法人へ遺贈するのかで課税のされ方が異なる事って知らない方が多いかなと思って記述してみました。
相続の対策として遺言書で法人へ遺贈する事を考える場合には、どのような税金が発生するかに関しても考えなきゃですね。
今回は一般論として記載しましたが、個別具体的なご相談を行う場合には税理士さんに相談する必要があるのです。
あ、私どもの事務所では、とても親切な対応される優しい税理士さんのご紹介も出来ますヨ。