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2012年10月17日 廃除ってなに?

廃除に関しての説明をしたいと思います。
廃除に関する判例は、沢山ありますので、今回ご紹介する判例はその中の1つに過ぎません。
ですので、判例の解説に関しては、このような事があったんだなという程度でお読み頂き、その後に記述します「廃除の補足」のほうをしっかりお読み頂ければと思います。

<メニュー>
■判例の解説
廃除の申立
■廃除の補足
廃除とは何か
『廃除』と似た『相続欠格』について
その他注意すべき点について


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 判例の解説

さっそく判例の解説に入ります。
~東京高等裁判所 平成4年12月11日 決定~
推定相続人である娘の相続権を失わせることについての裁判です。
~その内容を以下に物語にして説明します。~
登場人物や登場人物が考えた事等は、フィクションです。

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今回の主人公は、赤羽さん夫婦です。
赤羽さん夫婦は、二人の娘と幸せな生活を送っていました。
ところが、下の娘が、成長するにつれかなりヤンチャな行動をとるようになり中学生の時に少年院に送られることになってしまいました。
赤羽さん夫婦は、一生懸命下の娘を更正させようと努力したのですがその気持ちは、下の娘には通じませんでした。

少年院を出た後は、赤羽さん夫婦のもとには寄り付かず、暴力団員の男性と同居するようになりました。
その後、男性は暴力団を辞めてトラックの運転手となり、下の娘は、その男性と結婚をする旨を赤羽さん夫婦に伝えました。

しかし、赤羽さん夫婦は、その結婚に大反対でした。
下の娘は、赤羽さん夫婦の理解が得られない事を十分分かっていましたが結婚式の案内状に赤羽さん夫婦の名前を記入して赤羽さん夫婦の知人等にも送付しました。

赤羽さん夫婦は、いままでも精神的な苦痛を受けてきており、ついに堪忍袋の緒が切れてしまいました。
そこで、下の娘には、相続が出来ないように家庭裁判所に相続人廃除の申立を行いました。
しかし、申立は、却下されてしまいます。
納得がいかない赤羽さん夫婦は、高等裁判所に抗告をします。
その結果、赤羽さん夫婦の主張が認められました。

◆参考文献◆
有悲閣 家族法判例百選第6版 104、105頁
廃除原因としての「重大な侮辱」(井上哲男)


 廃除の補足

●まず、『廃除』とは、何かについて説明します。
廃除とは、被相続人が、家庭裁判所に申立を行う事で推定相続人の相続権を無くす制度です。
但し、理由も無く申立が認められるものではありません。
家庭裁判所が納得するだけの理由が必要です。
その為、今回の判例のケースのように大変な思いをする事が多いです。

●次に『廃除』と似た『相続欠格』について
相続欠格とは、一定の不正行為をした者へ国が制裁を与える目的で相続権を無くす制度です。
被相続人の申立などは必要なく当然に相続権が無くなります。

●それでは、『廃除』と『相続欠格』の違いについて
相続権が無くなる人の範囲
『廃除』 ・・・ 遺留分のある推定相続人だけ(兄弟姉妹は範囲外)。
『相続欠格』 ・・・ 全ての相続人。
廃除の効果が及ばない相続人に相続させたく無い場合には遺言書が必要となります。
逆に言えば、遺言書で実現する事象なのでわざわざ『廃除』の制度を利用する事は無いですよという事です。
『廃除』では出来るが『相続欠格』では出来ない事。
遺言で出来る。
(出来ますが、廃除は難しい事を理解した上でする必要があります)
取り消しが可能。
(やっぱり廃除しませんという事ができます)
遺贈をする事が可能。
(遺留分にも満たない額のものくらいはあげるという事が可能)

●その他注意すべき点について
『廃除』と『相続欠格』は、代襲相続します。
今回の判例の場合について説明しますと、下の娘さんに子供が生まれた場合、その子供が下の娘さんに代わり赤羽さん夫婦を相続する事になります。
『相続放棄』も相続権が無くなるという点では、相続放棄も同じですが相続放棄の場合には、代襲相続が無い事に注意が必要です。
今回の判例の解説で登場した赤羽さんと同じ家族構成だったとして廃除では無く、下の娘さん自身が相続放棄をしたとします。
その場合、下の娘さんに子供が生まれても、その子供は赤羽さん夫婦を相続する事はありません。


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